【エジプト】ルクソール観光:ナイル川クルーズツアーで巡る神秘の古代エジプト遺跡

エジプト、ルクソールにあるハトシェプスト女王葬祭殿

ルクソールは、古代エジプトの都「テーベ」があった場所。 紀元前1570年頃 ~紀元前1070年頃 を「エジプトの新王国時代」と呼び、エジプトは「テーベ」を首都として領地を広げ、大帝国となります。

ギザのピラミッドは、エジプト北部に首都があった紀元前2,500前後の遺跡なので、ルクソールのほうがもっと新しい時代の遺跡になります。

ルクソールには、新王国時代の素晴らしい遺跡がたくさん残っていて、 カイロやギザに次ぐエジプトの大観光地です。ツタンカーメンの墓がある「王家の谷」などは、エジプトに行ったことがなくても耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、ルクソールへの行き方やなどの基本情報と、ルクソール周辺の遺跡のレポートをシェアしたいと思います。


1. ルクソールの行き方

エジプト観光マップ。エジプトの主要都市と遺跡の位置。
エジプトの主要都市と遺跡

① 寝台列車

カイロからエジプト南部のアスワンまでは、寝台列車「ナイルエクスプレス」が運行していて、途中ルクソールにも停まります。カイロ~ルクソール間の所要時間は約10時間。寝ている間に移動してくれるので、そんなに苦にはならないと思います。
☛ナイルエクスプレスの記事へ

② ナイル川クルーズ

ルクソール~アスワンの間は、3泊4日や4泊5日のナイル川クルーズが運航しています。船に宿泊しながら上エジプト(南エジプト)の遺跡を巡ることができる、人気のツアーです。
☛ナイル川クルーズの記事へ

③ 飛行機

一番早いのは飛行機で、カイロ空港からアスワン空港までの所要時間は、約1時間です。

*ちなみに私たちは、カイロから寝台列車でアスワンへ移動。アスワン観光後に、「アスワン発→ルクソール行き」のナイル川クルーズに参加してルクソールへやってきました。

*移動手段の手配が面倒な方は、カイロからのオプショナルツアーもあるので、記事の最後で紹介します。

2. ルクソールの遺跡の一覧

ナイルクルーズで連れて行ってもらったものだけですが、ルクソールの遺跡の一覧です。

*リンクは地図で、Googleマップにジャンプします。

 

*地図上のピンにカーソルを当てると、場所の名前が表示されます。

古代エジプトの人々は、太陽が東から昇り、西の水平線に姿を消し、翌朝再び東から姿を現すように、人もまた死後に蘇ると信じていました。ナイル川の西側を「死者の町」、東側を「生者の町」とし、太陽が沈む西側に死者を埋葬し、東から昇る太陽とともに復活することを願ったのです。

ルクソールでは、ナイルの東岸には、カルナック神殿やルクソール神殿などの生を象徴する建物が、ナイルの西岸には、王家の谷や王妃の谷などの墓の遺跡が多く見られます。

3. ルクソールの遺跡のレポート

私たちは、3泊4日のナイル川クルーズツアーに参加して、ルクソールを観光に連れて行ってもらいました。 ツアーで巡った遺跡の様子をシェアしようと思います。

① カルナック神殿

カルナック神殿は、エジプト最大級の巨大神殿。カルナック神殿複合体とも呼ばれ、1平方キロメートルもある敷地に、いくつかの神殿、 塔門(パイロン) 、その他の宗教的建造物が集まっています。エジプトでは、ギザのピラミッドに次いで訪問者が多い遺跡だそうです。

エジプト、ルクソールのカルナック神殿入り口とスフィンクス参道
カルナック神殿入り口と、スフィンクスの参道

エジプト、ルクソールにあるカルナック神殿
カルナック神殿内部

カルナック神殿集合体の中心は、「アメン」神をお祀りする「アメン大神殿」。

アメン神は、もともとテーベ(現在のルクソール)の守護神でしたが、古代エジプト初期はエジプト北部の「メンフィス」などに首都があったので、アメン神は地方神の一人に過ぎませんでした。

中王国時代(紀元前 2,000年頃~)から新王国時代(紀元前1,550頃~)にかけて、テーベを中心とした王朝が力を持つようになり、エジプトはテーベを首都として大帝国を築き上げます。

それとともに、 アメン神は太陽神「ラー」と一体化して「アメン=ラー」となり、エジプトの神々の主として信仰されるようになります。カルナック神殿も巨大国家の宗教的中心地として拡張されていきます。

「アメン大神殿」の本格的な建設が始まったのは、 新王国時代の紀元前1,500年頃からだとか。この頃には、カルナック神殿を中心に、多数の神官が組織されて、「アメン=ラー」信仰の神官の勢力は王朝の政治を左右するほどになっていたそうです。

エジプト、ルクソールにあるカルナック神殿。大列柱室の柱。
大列柱室の柱

エジプト、ルクソールにあるカルナック神殿。ハトシェプスト女王のオベリスク。
ハトシェプスト女王のオベリスク

エジプト、ルクソールにあるカルナック神殿。ハトシェプスト女王の倒れたオベリスク。
ハトシェプスト女王の倒れたオベリスク
(現在建っているものと対だった)

エジプト、ルクソールにあるカルナック神殿。スカラベの像。
願いを叶える、スカラベの像

ちなみに、このスカラベ(フンコロガシ)の像の周りを反時計回りに周ると、願い事が叶うということで、みんな回っていました。3回、5回、7回、回る回数によって運命の人に出会えるとか、子宝に恵まれるとか、大金持ちになれるとか、ガイドさんがいろいろ言っていましたが、とりあえず私たちも7周回っておきました。

古代エジプトでは、フンコロガシが玉を転がす姿が太陽の運行に似ていることから、 太陽の回転を司る「ケペラ神」の化身と考えられ、神聖な甲虫とされていたのだそうです。

② ルクソール神殿

ルクソール神殿は、 紀元前1,300年頃につくられた神殿で、カルナック神殿の少し南にあります。 もともとは、カルナック神殿の中心である「アメン大神殿」の付属神殿としてつくられたもので、アメン大神殿とは3kmのスフィンクスの参道で結ばれていたそうです。現在参道が復元中で、もうすぐカルナック神殿と繋がるとか。

エジプト、ルクソール神殿。スフィンクスの参道。
ルクソール神殿のスフィンクス参道

神殿の入り口には、 1対のラムセス2世の坐像と1本のオベリスクがあります。もともとべリスクは2本あったんですが、もう一本はフランスに贈られて、パリのコンコルド広場に立っています。

エジプト、ルクソール神殿入り口。
ルクソール神殿入り口

神殿を入ると、巨大な柱や像に圧倒されてしまいます。うっすら色が残っているレリーフを見ることができますが、当時はとてもカラフルな神殿だったんだろうなと思いました。

エジプト、ルクソール神殿の内部。
ルクソール神殿内部

エジプト、ルクソール神殿のレリーフ。まだうっすらと色が残る。
うっすらと色の残るレリーフ

ルクソール神殿は、アレクサンドロス大王によって改造されたり、ローマ帝国時代は軍の要塞になったりしました。キリスト教がローマの国教となると、神殿内部や周辺にキリスト教会がいくつか造られたので、キリスト教の壁画も残っています。 中世からはルクソールのイスラム教徒の集団が神殿やその周辺に定住して生活していたそうで、今でも神殿内にモスクが見られます。

エジプト、ルクソール神殿。キリスト教の壁画。
キリスト教の壁画が残っている

エジプト、ルクソール神殿。キリスト教の壁画。
カラーで人の顔が書いてあるの、見えるかなぁ。

エジプト、ルクソール神殿内のイスラム教のモスク。
神殿内にあるイスラム教のモスク

一つの神殿の中に、古代エジプト時代、グレコ・ローマン時代、キリスト教、イスラム教など、いろいろな人たちの残した建築物や壁画を見ることができる遺跡なんてなかなかないですよね。

③ 王家の谷 ← 私のイチオシ!

王家の谷は、ナイル川の西岸にある墓群。 新王国時代の王の墓が集中している場所です。盗掘からお墓を守るため、岩山を深く掘ってお墓を隠すように作られています。60以上のお墓のうち、王の墓が24見つかっていて、10程度が一般公開されています。王の妻たちが埋葬されている「王妃の谷」も近くにあるのですが、今回は行きませんでした。

エジプト、ルクソールにある王家の谷。観光客を運ぶトロリー。
谷の入り口から、トロリーでお墓まで移動する

エジプト、ルクソールにある王家の谷。
王の墓の前でガイドさんから説明を受ける

多くの墓はすでに盗掘にあっていましたが 、1922年に発掘された「ツタンカーメン王の墓」は盗掘にあっておらず、財宝や副葬品が完全な形で見つかったので有名です。

エジプト、ルクソールにある王家の谷。ツタンカーメンの墓の入り口。
ツタンカーメンの墓の入り口

エジプト、ルクソールにある王家の谷。ツタンカーメンの墓の入り口。
ツタンカーメンの墓の説明

今回のエジプト旅行の中で、王家の谷が一番感動しました!ここにあるお墓には日光が当たらないので、何千年も昔に描かれた美しい壁画やレリーフが色を失わずに残っているんです。それまでは、エジプトの遺跡のイメージって茶色な感じだったんですが、ほんとうは、色鮮やかな装飾で飾られていたんだと思います。

王家の谷は、内部の撮影が禁止だったので、内部の写真はウェブ上で見つけた写真を添付しておきます。カメラのフラッシュが、壁画の色をダメにしてしまうんだそうです。

Image by aldboroughprimaryschool from Pixabay

エジプト、ルクソールにある王家の谷。いまだに鮮やかな色が残る、ラムセス6世の墓の内部。
ラムセス6世の墓の内部
数千年前の美しい装飾が
色を失わずに残っている

④ ハトシェプスト女王葬祭殿

古代エジプト唯一の女性のファラオ、ハトシェプスト女王によって 紀元前1,500年頃につくられた葬祭殿。王家の谷の近くにあります。3,500年も昔につくられたというのに、三階建てのテラス構造の葬祭殿はモダンで、エジプトでも最も優美な建造物のひとつ。

エジプト、ルクソールにあるハトシェプスト女王葬祭殿。

エジプト、ルクソールにあるハトシェプスト女王葬祭殿。

エジプト、ルクソールにあるハトシェプスト女王葬祭殿。

エジプト、ルクソールにあるハトシェプスト女王葬祭殿。

⑤ メムノンの巨像

ルクソール西岸にある、2体のアメンホテプ3世の座像。新王国時代絶頂期のアメンホテプ3世によって、 1,350年頃につくられました。もともとは、アメンホテプ3世の葬祭殿の入り口につくられた座像だったのですが、葬祭殿は、後の王たちに石材として使われて、完全に破壊されてしまいました。

エジプト、ルクソール西岸にある、メムノンの巨像。

紀元前27年の地震でヒビが入り、 夜明けになると、温度差によるきしみや、朝露の蒸発によって、うめき声や口笛のような音を出していたのが有名になって観光地化したそう。補修工事によって、今はうめき声はしないそうです。

ルクソール観光
おすすめのツアー会社とオプショナルツアー

ルクソール観光を取り扱っているツアー会社で、おすすめのものをいくつか挙げておきます。英語、日本語、ルクソール発、カイロ発、クルーズなどなど、いろいろオプションがあるので、参考になればと思います。

① EMO TOURS EGYPT

「EMO TOURS EGYPT」は、エジプト全土でツアーを提供しているツアー会社です。トリップアドバイザーなどでのレビューも非常に良く、私たちもエジプト各地で3つほどEMO TOURS さんのオプショナルツアーを利用しましたが、どのツアーもとても満足でした。

EMO TOURS さんのサイトは、日本語に切り替えることができ、日本語で予約もできるようです。ただ、現地でのガイドは英語・ドイツ語・スペイン語と書いてありますので、予約される際には気を付けてください。

EMO TOURさん主催のルクソールツアーの一覧
EMO TOUR ウェブサイト

ちなみに、私たちのルクソール観光は、ナイル川クルーズツアーに含まれていたのですが、こちらが私たちが参加した3泊4日のナイル川クルーズです。
3泊4日: アスワン発→ルクソール行
EMO TOUR ウェブサイト

ルクソール発の4泊5日のクルーズもあるようです。追加料金でアブ・シンベルツアーも追加可能。
4泊5日: ルクソール発→アスワン行

② Veltra (日本語ツアー)

日本語のツアーをお探しならば、私のおすすめは、海外オプショナルツアー最大手の「Veltra (ベルトラ)」さん…. だったんですが、最近エジプトのツアーが極端に減ってしまったようです。

世界中のオプショナルツアーを取り扱っている会社で、お客様レビューも非常に良いツアー会社なんですが、残念です。一応、ベルトラさんのエジプトツアーのリンクを貼っておきます。
ベルトラのエジプトツアー

エジプト、ルクソール。ナイルに沈む夕日。
ナイルに沈む夕日@ルクソール

5. おわりに

2週間にわたるエジプト旅行も、ここルクソールで終了です。ルクソール空港から飛行機でカイロへ飛び、帰国しました。

エジプトと言えばピラミッド!なんて軽い気持ちで行ってみましたが、エジプトという国は、思っていたよりもずいぶん奥が深かったです。5,000年昔の古代エジプト文明に始まり、いろんな民族や宗教に影響されながら今に至るエジプト。これほどまで様々な文化が入り混じったユニークな国って、他にないんじゃないかなと思いました。

ギザのピラミッドは、誰がどうやって建てたか未だに議論されているくらいなので、「謎の物体」という感じがしましたが、ルクソールの遺跡は、古代の人たちの世界観や生活の様子を描いた美しい壁画やレリーフがきれいに残されていて、感動しました。エジプトに恵みをもたらし続けるナイル川も、神秘的で美しかったです。