世界的に有名なワインの産地、ナパ・バレー (Napa Valley)。南北に伸びる谷間にブドウ畑やワイナリーが点在している地域です。
→ ナパのワイナリーマップ
ナパのダウンタウンは、サンフランシスコから車で1.5時間ほど北に行ったところにあります。ナパ・バレー(谷)は南北に50キロほどあるので、北端から南端までは車で一時間ほどかかります。
*薄いピンクで囲んである部分がナパ・バレー。
ナパ・バレーの南部はサン・パブロ湾に面していて、海からの冷たい空気の影響で比較的涼しい気候。谷の北部に行くにつれて空気が閉じ込められて熱されて、気温が高くなる傾向にあります。北に行くほど暑いって、面白いですよね。
この気温の変化のおかげで、一つの谷の中で、様々な品種のブドウを栽培することができるのだそうです。
英語のサイトなんですが、どの地域でどんな品種のブドウが栽培されているのかまとめたマップを見つけたので、リンクを貼っておきます。「Wine Folly」という、最近私のお気に入りのサイトです。オシャレなイラスト付きで、初心者にもわかりやすくワインについて解説してあります。
→ Wine Folly: ナパのワインマップ
今回の記事では、ナパのワイナリーをいくつか紹介してみようと思います。それから、ナパの名前が世界に知れ渡ることになった「パリスの審判」という出来事についても少し触れてみます。
1. パリスの審判(1976年)
“Judgment of Paris”
ワイン業界に革命を起こした「パリスの審判」。イギリス人のワイン商人「 Steven Spurrier ( スティーヴン・スパリュア氏 )」 によって開催された、フランスワインとナパワインの対決試飲会です。
Image by Monica Volpin from Pixabay
スパリュア氏は当時、フランスでワインショップやワイン学校を営んでいました。彼は、それまで無名だったナパワインの質の高さに注目し、ワインのブランド名を隠して飲み比べをする「ブラインド・テイスティング」でフランスワインとナパワインを対決させました。 審査員はワインや料理の専門家たちで、9割はフランス人でした。
「優れたワインはヨーロッパでしかできない」というのが常識だった時代。無名のアメリカワインなど、フランスワインの足元にも及ぶはずがない、と誰もが思っていた中、ナパワインは赤と白の両方とも優勝してしまったのです。
「パリスの審判」によって、ナパワインは世界から注目を浴びるようになり、世界各国でも高品質のワインがつくられ始めるきっかけにもなりました。ワイン業界の常識を覆したショッキングなイベントだったんですね。
Image by Photo Mix from Pixabay
白ワイン部門優勝は、「Chateau Montelena Winery( シャトー・モンテレーナ)」の「Chardonnay(シャルドネ)」という品種。
赤ワイン部門優勝は、「Stag’s Leap Wine Cellars( スタッグス・リープ )」の「Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニヨン)」でした。
この2本は、ワシントンDCのスミソニアン博物館においてあります。
「ナパに行く前に、この映画を見てから行った方がいいよ~」と友人から勧められた「Bottle Shock(ボトルドリーム)」。 Chateau Montelena のワイナリーの人々がパリスの審判に優勝するまでのドラマを映画化したものです。パリスの審判の本も出ています。
2. パリスの審判ゆかりのワイナリー
ナパにはワイナリーが無数にあります。登録されているだけでも1500件以上、テイスティングルームなどがあって、一般公開しているものは400件近くあるそうです。
今回はその中でも、パリスの審判にゆかりのあるワイナリーを3軒紹介してみようと思います。
① Chateau Montelena
シャトー・モンテレーナ(モンテリーナ)
パリスの審判の白ワイン部門で優勝したのが、こちらのワイナリーの「Chardonnay(シャルドネ)」です。
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ツタの葉がステキな、シャトー・モンテレーナの建物。ワインボトルのラベルにも描かれている建物です。
テイスティングルームです。
② Grgich Hills Estate
ガーギッチ・ヒルズ・エステート
クロアチア出身の「Mike Grgich(マイク・ガーギッチ氏)」がつくったワイナリーです。
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ガーギッチ氏はもともと「Chateau Montelena」で働いていて、パリスの審判で優勝した「Chateau Montelenaのシャルドネ」の製造に大きく貢献した人物だそうです。その後ガーギッチ氏は独立して、 出資者のヒルズ氏と一緒に「Grgich Hills Estate」を作りました。
テイスティングルームの中です。
この日はこちらの Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニヨン)が気に入ってお買い上げ♪
③ Stag’s Leap Wine Cellars
スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ
パリスの審判の赤ワイン部門で優勝したのは、こちらのワイナリーの「Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニヨン)」 です。
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そういえば以前に、スタッグス・リープの「アルテミス」というワインが美味しかったのを覚えていて、是非行ってみたいと思って予約をしたんです。
が、大失敗!!
なんと、ほとんど同じ名前のワイナリーがもうひとつありまして、間違ってそちらのワイナリーのワインテイスティングを予約してしまったのです。
Σ(°д°lll)ガーン
その名も、「Stags’ Leap Winery」。「え、同じじゃん?」って一瞬思いますよね?でも、アポストロフィー「’」の位置が「s」の左にあるのが、パリスの審判で優勝した方です。
↑↑↑ 行きたかったのは左側のワイナリーです。
もともと「Stags Leap」というのは、この2つのワイナリーがある辺りの地名だったので、2件とも同じ名前になってしまったようです。紛らわしいからやめて欲しい~。
パリスの審判で優勝した「スタッグス・リープ」に行きたい方は、「Stag’s Leap Wine Cellars」( アポストロフィー「’」の位置が「s」の左)ですので、くれぐれもお間違え無く。私たちは次回またトライします….。
■ Stags’ Leap Winey
スタッグス・リープ・ワイナリー
とはいえ、今回間違えて予約した「Stags’ Leap Winery」も、決して悪いワイナリーではないのです。ワインの質も良いですし、テイスティングツアーもユニークで楽しかったですし。せっかく行ったったので、参考までにワイナリーの情報を載せておきます。
→ Stags’ Leapのホームページ
→ 地図
テイスティングは要予約です。ガイドさんがついて、お屋敷の中やブドウ園の見学をしながらテイスティングを行うスタイルなので、2時間くらいのツアーみたいな感じでした。他にも何組か予約している人がいて、10人くらいでのテイスティングツアーとなりました。
3. その他のワイナリー
ナパ・バレーには、本当に数えきれないほどのワイナリーやテイスティングルームがあるので、どこから行ったらいいのか迷ってしまいます。行きたい場所をいくつか決めて、予約していくのが無難かと思います。
ネットなどでよくおすすめしてあるところをいくつか挙げておきます。リンクはワイナリーのホームぺージへジャンプします。
写真があるものをいくつか紹介します。
Beringer Vineyards
Castello di Amorosa
カリフォルニアに、お城です….。すごい。ここからの眺めは、イタリアのトスカーナ地方のようで美しいです。
V. Sattui
ここは予約しないで行ったら、いっぱいで入れませんでした。外でピクニックしている人たちもいました。
4. おわりに
今回は、ワインの歴史を覆した「パリスの審判」と、ナパのワイナリーをいくつか紹介してみました。
ナパのワイナリーは、テイスティングができるだけでなく、ワイナリーのお屋敷や、お庭、ブドウ畑などもセンス良くお手入れされていて、立ち寄るだけでもすごく楽しいです。
テイスティングや食事、ツアーなどに参加してみたい場合は、予約していくのが無難です。予約が一杯で入れないこともあります。オンラインで予約ができるワイナリーもたくさんあります。
それから、ナパは雨が降ることは少ないと思いますが、朝夕の温度差がとても激しいので、重ね着などされて行くといいかなと思います。