2019年秋の、ヨルダン・イスラエル旅行の記事を書いています。
今回の記事で紹介するのは、ヨルダンの世界遺産「ペトラ遺跡」。
ペトラは、紀元前1世紀~紀元後1世紀にかけて、アラブ系のナバテア族によってつくられた都市。6世紀末ごろから人が住まなくなり、1812年にスイスの探検家に発見されるまで、何百年もの間、深い渓谷の中に忘れ去られていた「失われた都市」でした。
遺跡の至る所に、岩山をくり抜いてつくられた美しい建築物が残っていて、とても神秘的。映画のインディージョーンズの舞台になったことでも有名です。
本当に素晴らしい遺跡で、はるばる来た甲斐があったなぁと思いましたので、遺跡の情報をシェアしてみたいと思います。
1. ペトラ遺跡ってどこ?
ペトラはヨルダン南部の渓谷の中にある遺跡です。
→ ペトラの公式ウェブサイト
→ ペトラの地図
*地図上のピンにカーソルを当てると地名が表示されます。
ペトラを築いた「ナバテア人(ナパタイ人)」は、もともとはアラブ系の遊牧民で、キャラバン貿易を通じて、巨万の富を築きました。
紀元前2世紀半頃からは、ペトラを首都として定住するようになり、ナパテア王国ができました。
砂漠を移動するキャラバン隊の中継基地だったペトラの街は、商人たちが行き交う商業都市として繁栄を極め、多くの外国人が住む国際都市であったとか。
西暦1世紀ごろから、貿易ルートが陸上から海上へ移行していったため、ペトラの商業都市としての重要性が低下。さらに、西暦106年にはローマ帝国の属州となったり、363年には大地震の被害にあうなどして衰退し、しだいに忘れ去られていったといいます。
2. 歩きまくったペトラでの一日
① ビジターセンター
「ペトラ観光はものすごい距離を歩く」と聞いていた私たちは、なるべく暑くなる前に行動しようと思い、遺跡がオープンする午前6時にはチケット売り場に到着していました。
今日は、ビジターセンターから、ペトラの一番端にある「エド・ディル神殿(修道院)」まで歩きます。片道4キロくらいです。
② ペトラのゲートウェイ『シーク』
入場ゲートを通過し、まずは、ペトラの街の入り口にある「宝物殿」を目指します。距離は2キロ弱 😅。歩くのが嫌なら、有料で馬や馬車に乗れます。
途中から「シーク(The Siq)」と呼ばれる岩山の裂け目が1.2キロ続きます。シークを抜けた所に、ペトラの街が現れます。
シークは、ペトラへのゲートウェイ。こんな狭くて深い亀裂の先に、大商業都市があるなんて、昔の旅人たちもびっくりしたことでしょう….。
シークには、ダムや水路の跡が見られます。
ナバテア人は、2,000年以上もの昔に、すでに高い灌漑技術を持っていました。6キロ離れた水源から水を引き、砂漠にありながら水に不自由することはなかったとか。古代版ラスベガス….。
ちなみに、シークはものすごく狭くなる場所があるにもかかわらず、馬車がものすごい勢いで走ってくるので注意しましょう….。
しかも、石畳のガタガタしたところも疾走していて、馬車は大揺れ。たまに馬車から悲鳴が聞こえてきました 💀。
正面に何か建物が見えてきました!
宝物殿到着!
③ エル・カズネ
(宝物殿/ The Treasury)
ペトラのシンボルともいえる宝物殿。ペトラで最も美しい建築で、「エル・カズネ」とか「エル・ハズネ」と呼ばれています。紀元前100年頃の建築。岩山を削って作られたものです。
宝物殿とは言いながら、用途ははっきりわかっていなくて、葬祭の儀式に使われたのではないかと言われています。
■ バラ色の都市 🌹🌹🌹
この辺りの砂岩には、様々な種類の鉱物が混じっていて、日の当たり方によっていろんな色の岩肌を見せてくれます。時間帯によって、美しい赤色に染まるので、ペトラは「The rose red city(バラ色の都市)」とも呼ばれています。
特にエル・カズネは、一日に50色のバラ色を見せるといわれていて、私が撮った写真も、早朝と午後では全然色が違いました。
ガイドブックによると、エル・カズネが一番赤く輝くのは、直射日光の当たる午前8時~11時ごろだそうです。
エル・カズネは、向いにある崖に上ることができて、少し高い所から見ることもできます。
崖の上に、ビューポイントがあるらしいんですけど….
金取るんかい笑!
ネコ貸してくれたから許す。
ビューポイントは、10人くらいしか入れない狭い空間なので、混んでたら結構待つかもです。
ちなみに宝物殿は、早朝に通過した時はガラガラでしたが、午後に戻って来た時にはかなり混んでいました。
④ ペトラの市街地
宝物殿を過ぎると、少しづつ岩山が開けてきて、いよいよペトラの市街地が姿を現します。
エド・ディル神殿までの道のりの半分くらいまで来たと思います。
通り沿いにはレストランやお土産屋さんが並び、商人たちは今でも、ラクダやロバに乗って移動しています。早朝はほとんどの店が閉まっていましたが、午後はとても賑やかでした。
市街地跡には、歴史的に重要な遺跡もたくさんあって、全てをじっくり見ていたら1日では足りないと思います。
⑤ エド・ディル神殿(修道院)
市街地跡を抜けると、「The Basin」という大きなレストラン+休憩所があります。私たちが通過した時は、まだ開店前。
レストランからエド・ディル神殿までは、さらに40分!急坂を上っていきます。歩くのが無理な人は、ロバに乗ります。馬は小回りが利かないので無理みたいです。
狭い急坂にも、お店がたくさん並んでます。
景色は素晴らしいです。
頂上近くには、800段の階段がぁ~😓
こちらが頂上にある「エド・ディル神殿」。「エル・カズネ(宝物殿)」よりも全然大きいです。写っている人が蟻んこみたい。
「エド・ディル(Ad Deir)」は、英語では「The Monastery(修道院)」とも呼ばれます。ナバテアの王を祭るために建てられた神殿を、のちにキリスト教の教会として使ったと言われています。
もともとナパテア人は多神教で、様々な神々を信仰していましたが、ローマ帝国の影響を受けて、4世紀頃からキリスト教への改宗が進みました。
「エド・ディル」の向かいには、カフェがあります。
「エド・ディル」を眺めながらひと休み。
そして最後に…. もうひと踏ん張りして、カフェの裏にある岩山に登ります。そろそろ限界~😓。
ビューポイントがあるのだそうです。
ビューポイントから眺めた「エド・ディル」。
6:15に入場し、多少寄り道しながら「エド・ディル」に到着したのが10時でした。頂上で1時間くらい休憩し、11時に下山。行きに見れなかった遺跡などを見学しながら、14:30にビジターセンターに戻って来ました。
何度か休憩したとはいえ、8時間近く歩き回った計算に…. 少しは痩せたかしらん 🙄
3. ペトラ観光のお役立ち情報
① 観光のベストシーズン
ベストシーズンは春か秋と言われ、私たちは11月3日にペトラを訪れました。気温と天候はパーフェクトでした。
砂漠で乾燥しているので、朝夕の温度差があります。朝はひんやりしていたので、パーカーを着て出かけましたが、日中は、日差しが照り付ける中を歩き回ったせいで汗をかきました。
冬はかなり冷え込み、まれに雨で遺跡が閉鎖になることもあるらしいです。日照時間も短いので、あまりお勧めできる時期ではないようです。
夏はかなり暑いはずですが、日差し対策次第では観光不可能ではないのかも。
② 持っていくもの
入場の時、パスポートが必要でした。
それから、日ざし対策はきちんとして行った方がいいと思います。帽子を忘れたら、お土産屋さんでスカーフなど買うのもいいかもしれません。飲み物は、忘れても売店で買うことができます。
③ 足場と靴選び
道路や小道は比較的よく整備されているので、ハイキングシューズなどは必要ないですが、長く歩くのでスニーカーが一番おすすめです。ちなみに、砂が多いので、砂ぼこりで靴が汚れます。
それから、ツルツルの砂岩の上に、砂が薄くのっているような坂道では滑りそうになりましたので、気を付けてください。
④ お手洗い
お手洗いは、遺跡内にいくつかあり、比較的きれいです。はっきり覚えていませんが、トイレットペーパーもあったと思います。私は念のため、普通のティッシュと、ウェットティッシュをいつもカバンに入れています。
4. 偉大なる『地球の歩き方』
今回の旅行には、ガイドブックの「地球の歩き方~ペトラ遺跡とヨルダン(レバノン)」を持って行きました。タイトルに「ペトラ遺跡」と書いてあるだけあって、ペトラの解説は50ページを超え、とても詳しく解説してあります。
ペトラの歴史、各遺跡の解説、滞在日数に応じたモデルコースなど、これ一冊あればガイドさんはいらないくらいです。さすが地球の歩き方!とても役に立ちました。
5. おわりに
今回の記事では、ヨルダンの世界遺産ペトラ遺跡を紹介してみました。
これまで古代遺跡はいくつか行きましたが、ペトラは遺跡や地形がとても美しく神秘的。さらに街が丸ごと保存されているのはすごいなと思いました。とてもオススメ度の高い遺跡です。
時間が無い方は、アンマンや、イスラエルの主要都市からツアーも出ています。
日本のオプショナルツアーの大手「ベルトラ」と、世界最大の旅行レビューサイト「トリップアドバイザー」の現地ツアーのリンクを貼っておきます。
ベルトラさんの方が日本語のツアーが選べるものが多いですが、アンマン発のみのようです。
→ Veltraのペトラツアー
トリップアドバイザーは、英語ツアーになる可能性が高いですが、出発場所の選択肢が多いです。アンマン、エルサレムをはじめ、ヨルダンとイスラエルの様々な都市からのツアーが掲載されています。
→ トリップアドバイザーのペトラツアー
参考になればと思います。
■ ヨルダン・イスラエル旅行記
→ 旅行記トップページ
→ ヨルダン・イスラエルの記事一覧
■ ペトラの入り口にあるホテル
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